短歌制作の基本 — 5 / 5
第5章 推敲して仕上げる
時間を置いて読み返し、一首を完成させて題をつける。
短歌が上達するいちばんの近道は、優れた先人の作品に触れることと、自作を徹底的に推敲することだと言われる。三十一音しかない短歌では、助詞一文字の違いが一首全体の印象を大きく変える。完成したと思ったあとこそ、一語ずつ疑って見直してみよう。
推敲のときに役立つチェックポイントがある。助詞の「も」は焦点をぼかしやすいので、「が」「は」「を」に置き換えられないか確かめる。動詞が四つ以上あると動きが散らかるので、減らせないか考える。体言止めは一首に一つまでにとどめる。あいまいな「の」が続いていないかも確認したい。
自分の歌は、書いた直後ほど客観的に読めない。時間を置く、声に出す、他の人に読んでもらう。この三つを通すと、自分では気づけなかった言葉の重なりや、意図と違って伝わる箇所が見えてくる。
実践ステップ
- 1
時間を置いて読み返す
一晩置いてから読み返す。書いた直後には気づけなかった言葉の重なりや、分かりにくい箇所が見えてくる。
- 2
他の人に読んでもらう
家族や友人に読んでもらい、どんな場面が浮かんだかを聞く。自分の意図と違う受け取り方をされた箇所が、直すべきポイントになる。
- 3
題をつけて清書する
一首に題をつけ、清書する。題は歌の内容を繰り返すのではなく、読む前の手がかりになる言葉を選ぶ。
この章の成果物
推敲した一首に題をつけて、完成させてください。
実践例
EXAMPLE
題「帰路」
ビニールの 傘をたたんだ 手のひらに コンビニの灯が 雨ごと落ちる
- 読み手から「疲れた帰り道が一瞬明るくなる感じ」と感想をもらい、意図どおり伝わることを確認した
EXAMPLE
題「荷造り」
引き出しの 奥の便箋 鉛筆の 薄さのままで 祖母が笑った
- 題を「手紙」から「荷造り」に変え、引っ越しの場面であることを読む前に伝えた