ロゴ制作の基本 — 1 / 11
第1章 依頼の背景とブランドを整理する
作る前に「誰に何を伝えるロゴか」を言葉にする。ここが曖昧だと後の工程がぶれる。
ロゴ制作は「かっこいい形を考える」ことから始まる作業ではない。最初にすべきは、なぜ今ロゴが必要なのかを言葉にすることだ。新規開業なのか、リニューアルなのか、個人ブランドの立ち上げなのか——背景が具体的であるほど、後で選ぶべきデザインの方向も自然と絞られてくる。
次に、会社や商品、活動が大切にしている価値を一言で書き出す。「誠実さ」「速さ」「遊び心」のように抽象的な言葉でかまわない。ロゴとは、こうしたビジョンやミッションを視覚化したものだからだ。誰に、何を、どんな場面で届けたいのかを、自分の言葉でブランドを説明できるところまで掘り下げておく。
IBMやABCのロゴで知られるデザイナーのポール・ランドは、「ロゴは旗であり、署名である」「ロゴは(直接)ものを売るのではなく、識別するためのものだ」と述べている。さらに、ロゴの意味はそれが象徴するものの質から生まれるのであって、その逆ではないとも言う。ロゴひとつで事業のすべてを説明しようとせず、何を識別させたいのかを先に言葉にしておこう。
この章で言語化した内容は、以後すべての工程で立ち返る土台になる。曖昧なまま進めると後工程でデザインの方向がぶれる。最初に手間をかける価値がある。
実践ステップ
- 1
依頼・制作の目的を言葉にする
「なぜ今ロゴを作るのか」を書き出す。新規開業、リニューアル、個人ブランド立ち上げなど、背景が明確になるほど求めるデザインの方向も明確になる。
- 2
伝えたい価値を一言で書く
会社・商品・活動が大切にしている価値を一言で書き出す。「誠実さ」「速さ」「遊び心」など抽象的でよいので、まず言語化する。
- 3
ブランドの詳細を掘り下げる
ロゴはビジョンやミッションを視覚化したもの。誰に、何を、どんな場面で届けたいのかを、自分でブランドを説明できるくらいまで掘り下げておくと後がぶれない。
この章の成果物
制作背景と伝えたい価値を整理し、一言の文章にまとめてください。
実践例
深夜営業のパン屋「月夜のパン」
- 業態: 新規開業する深夜営業のパン屋
- 思い: 「一日の終わりに立ち寄れる、あたたかい場所でありたい」
- 伝えたい価値: 「あたたかさ」の一言
Webメディア「Reexperiri」
- 内容: 自分のロゴやマスコットを作りながら学べるWebメディアを新規開設
- 伝えたい価値: 「自分の手で作る楽しさ」の一言